教育・心理カウンセラーの花賀作象です。前回は自分の専門分野や得意分野の技能を書き出し、業界第一人者になるために必要な知識・技能・情報を特定し、それを身に着けるための目標を設定するところまでやっていきました。
今回は、今までやってきたことのエクササイズを基にして、いよいよ行動計画を立てていきます。これはほかのどんな技能よりも潜在能力を開花させるために役立つ技能です。さあ、本日のエクササイズも頑張ってやっていきましょう!!
目次
なぜ計画を立てるのか
まず、このエクササイズに入る前に「なぜ計画を立てるのか」について考えていきます。これまでも目標と具体策を立てて、それを毎日書き出して実行してきているのに、これに加えて計画まで立てなければならないのか、と思われる方もいるかと思います。
ここで考えていただきたいのが、「計画とは何なのか」ということです。単純に申し上げると、「事を行うにあたり、その方法、手順、期間などをあらかじめ考えること」になります。
一方で目標は、自分がめざすものとその具体策を立てて、それを実現するための指標にしかなりません。「星の王子さま」の著者で有名なサン=テグジュペリも「計画のない目標は、ただの願望にすぎない」と言っています。すなわち、目標を立てて計画を立てないというのは、ただ「こうなればいいのに」と願うだけで何も行動しないことになるというわけです。
ここから考えても、計画を立てることがいかに大事であるかが分かりますよね。
そして計画を立て、その計画に目標に加わると、目標はたちまちのうちに「方法、手順、期間が加わった複合的なタスク」すなわち「理想を実現に導く最強のタスク」へと変化するわけです。
これまでにやってきたことをまとめてみる
では、第1回からここまでエクササイズをやってきたみなさんは、目標達成に必要な要素を以下のように特定してきています。
- 自分の理想とするものを基盤とした目標を持ち、自分が何を求めているのか、どうしてそれを求めるのかを認識しています。
- 目標をすべてノートに書き出して、それらを視覚化しています。
- それぞれの目標と具体策に期限を設定しています。
- 自分と目標との間に立ちはだかる障害を特定し、それに順位をつけて、前向きな目標に変えています。
- 自分の専門(得意)分野を見出し、目標達成に必要な知識や技能や情報を得るように努めています。
以上のことについては、これまでノート(紙)に書き出してきました。ただ、これらはすべて、目標達成計画を立てるためのまだ練られていない素材にすぎません。
成功のためのスローガン
ブライアン・トレーシーは私生活と仕事の双方で成功をつかむためには、6つのPからなる次のスローガンをつかむように言っています。
「Proper Prior Planning Prevents Poor Performance(前もっての適切な計画が、お粗末な仕事ぶりを防ぐ)」
さらに、前もって適切な計画を立てることには、次のような7つの利点があるとも述べています。
① 計画を立てるプロセスで、成功するためにはいずれやらなくてはならない事柄について、考えを整理せざるを得なくなる。
② 目標達成のために何をしなくてはならないのかを考えることで、自分の行動をあらかじめ慎重に計画できる。それによって、膨大な時間、人手、お金を節約できる。
③ 徹底的に計画を練ることで、後に致命傷となりかねない欠点や間違いを明らかにすることができる。これによって、たとえば「この行動パターンをとった場合、予測できる最悪の事態は何か?」といった、仮定でものが考えることができるようになる。
④ 計画の弱点を見つけて、それを強化するための展望を前もって考えることができる。放っておいたら企業の存続にかかわる致命傷になりうる弱点を、発見できることがある。
⑤ 計画を立てることで成功の芽となる長所を見つけ出し、それを有効に生かすことができる。
⑥ ビジネスを成功に導くためにやらなくてはならないことに、時間も意識もお金も集中させられる。集中し、専念すべき対象がはっきりしていないと、エネルギーが拡散してしまい、ほとんど何も成し遂げることができなくなる。
⑦ 混乱と過ちのためにお金とエネルギーを浪費する時間を短縮できる。
計画表を作成する
では、これから実際に計画表を作成していきます。計画表の最も簡単な形式は、目標達成するためにやらなくてはいけない具体策をすべてリストにしたものです。毎日書いている目標の具体策も含め、目標達成のためにやらなくてはいけないことをすべて紙(ノート)に書き出してみてください。
毎日書く目標や具体策も何かを思いつくたびに書き出したり書き変えたりすることが大事ですが、これは計画を立てることに関しても同じです。新たに何かを思いついたらリストに書き出し、状況の変化により変えたほうがいいものが出てきたらすぐに変えていくようにしてください。
それでは、書き出した具体策の右に開始日と終了予定日を書いてください。どのくらいの日数がかかるか分からない時は、だいたいの予測で構いませんから書いてみてください。
そこまで書けたら、さらにその右にチェック欄と完了日(実際に完了した日)を設けたらこれでできあがりです。え!?こんなに簡単でいいの?と思われるかもしれませんが、それでいいのです。計画表の項目は、毎朝書き出している目標の具体策で大半を占めているかと思いますが、これをいつからいつまでの間に完遂させるかを書くことによって目標達成する確率がより高まってきますし、計画をだらだらと進めていくこともなくなりますから達成までの期間を短縮させることができます。できた項目についてはチェック欄にチェックを入れてください。もし、終了予定日までに完了しなかった場合は、それに消しこみをかけた上で、新たにつけ足すようにリストに載せてください。この際、全く同じことを書くのではなく、「もっとこうしていれば早く終わらせることができた」という要素を加味した上でリストに書くと、今度は短期間で確実にできるようになるはずです。あくまでも「必ず成し遂げるぞ!」という強い思いをもって、計画を進めるようにしてください。
失敗に備える
さあ、これで計画を立てることができましたから、今度はそれをこれから実行していきます。ご存じのように、最初から完璧な計画というのはありえませんから、これから新しいことをしようとする計画は、最初のうちは何度も失敗します。ただ、これはどんな人でも当然起こりうることで、想定の範囲内と考えてください。失敗から学び、それを新たな計画に生かす能力こそが成功には必要なのです。ビル・ゲイツも「成功を祝うのもいいが、もっと大切なのは失敗から学ぶことだ」と言っています。さらにイギリスの元首相ウィンストン・チャーチルも「成功とは意欲を失わずに失敗に次ぐ失敗を繰り返すことである」と言っています。要は失敗することは「当たり前」のことなので、気にしないということです。それよりも、計画を進めていく上でどんな手段には効果があって、どんな手段には効果がないかに気を配るようにしてください。
もし、計画通りに事が運ばなかったとしても焦ることはありません。初心にかえって計画を見直してみるとよいです。第3回のエクササイズでやったことですが、発生する障害はすべて前向きな目標に変えることができます。障害はプロセスの一環だと捉え、有効な対処法を考えてください。「何が問題なのか?」「他に問題はないのか?」「どんな解決策があるか?」「他に解決策はないのか?」「今何をすればよいのか?」「次にどのような手立てがあるのか?」と自問してみてください。
新しいことを始めてそれを成功させるには、普通の努力ではなく、人並外れた努力がどうしても必要になります。成功した人たちはこれをやり遂げています。目標を達成するために払う代償として考え、これを乗り越えるようにしていきましょう!!
いかがでしたか? 今回のエクササイズは目標達成のための行動計画を立てるという、いわば成功のためには欠かせない技能を習得するためのものです。前述したように最初のうちは失敗も多いです。しかし、失敗から学び、必ず成功できることを信じ、意欲を持ち続けて努力していけば、必ず目標は達成できます。「必ず達成できる!」と強く信じて計画を立て、その実現に向けて具体策を着実にこなしていってください。 それでは、また次回お会いしましょう!!
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