教育・心理カウンセラーの花賀作象です。前回は学習性無力感に陥った場合にどのようにして克服していくかについてのエクササイズをしていきました。今回は「上手な断り方をしよう!」になります。あなたは普段業務をしている中で、他人から頼まれた業務をどんどん引き受けてしまい、気がついたらパンク状態になって何もかもが中途半端になり、返って迷惑をかけてしまうような経験をしたことはありませんか?これはまさにあなた自身が他人の業務依頼に対し、「自分にとって重要な業務以外は断る」ということをしてこなかったために起こってしまった現象だといえます。今回は、自分にとって重要でない業務依頼を他人から受けたときにどうやればうまく断ることができるかについてのエクササイズをやっていきますよ!!
目次
優秀な人ほど多くの仕事が舞い込んでくる
目標設定をしてその具体策を確実に実行していると、自分の技能が高まってきますから、そうなると「優秀な人材」と評価されるようになり、新たな仕事がどんどん降られるようになってきます。本人としても仕事が降られるのは、自分が優秀であると認めてもらっている証拠でもあるので、これを気持ちよくどんどん引き受けるようになります。すると、気がついたら自分の処理能力を超えた業務を抱える状態になっており、そのために抱えている業務のどれもが中途半端になってしまいます。そのために、自分の業務に対する評価が大幅に下がり、自分の本当にやりたいことも分からなくなり、自分が行くべき方向性を見失って、やる気そのものをすっかりなくしてしまうのです。グレッグ・マキューンは、成功者が陥るこの現象を著書「エッセンシャル思考」で「成功のパラドックス」と呼んでいます。世の中は、多くの優秀な人がこの「成功のパラドックス」に陥ってしまっているのが現状なのです。
パレートの法則とは
パレートの法則はご存じでしょうか?これは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱された「20%の要素が事象の80%を生み出している」とする法則のことで、80:20の法則とも呼ばれています。
この法則を業務に活用すると、業務の大幅な能率アップが見込めます。例えば、1日の業務を始める段階でも最も重要なものは、その日の「業務計画」になりますが、ここに最低30分くらいしっかり時間をかけるのです。どんな業務があるかをリストアップし、それに優先順位をつけ、何をどれだけの時間をかけて行うのかを15分刻みで決めてしまうのです。すると、不思議なくらい業務がスムーズに進められ、予定よりも早く終わることも出てくるのです。
業務の根幹(骨格)部分を見抜く
どんな物事にも必ず根幹のようなものが存在します。例えば、家を建てるとしたら、まず間取りなどの設計図をかき、基礎を作ってから骨格となる柱を組み立てていき、その後で柱に壁をつけて完成させていきますよね。この場合、根幹部分に相当するのは、「設計図をかく」という行為になります。
ここから考えてもわかるように業務やプロジェクトにも根幹部分が存在しています。そして、この根幹部分が本当に大事な業務になってきます。業務やプロジェクトにおける根幹部分は何になるかというと、何をいつどのくらいの時間(期間)をかけて行うかの「計画」になります。ですからこの計画段階で予算や時間(期間)がどのくらい必要かを綿密に計算して正確に算出していく必要があります。この計画がしっかりできていれば、あとはそれに沿って進めていくだけになります。
業務やプロジェクトを進めていく上で大事になってくるものは、家を建てる際の柱の部分すなわち骨格部分になります。家も骨格部分である柱の部分を先に組み立ててしまえば、あとは壁をつけたり、キッチンやバスなどの機能的なものをつけていけば完成させることができます。すなわち、業務やプロジェクトも骨組み部分を先に作ってしまえば、あとは流れるようにそれを進めていくことができるというわけです。
このように業務やプロジェクトの根幹部分や骨格部分さえ分かれば、それだけに集中して進めていくことによって、業務やプロジェクトの大部分が完成してしまうことになるのです。これで根幹部分や骨格部分に集中して進めていくことがいかに大事かが分かりますよね。ですから業務やプロジェクトを進めていくときは、根幹(骨格)部分を最重要視し、まずはこれだけに集中して進めていくようにしてください。
根幹(骨格)部分以外の業務は断るようにする
根幹(骨格)部分の業務以外のことを他の人から依頼されたとき、それははっきり断りましょう。前述のように業務やプロジェクトを進める上で最も大事なのは、まずはそれを設計する根幹部分の業務であり、それが進み出せば骨組みを組み立てる骨格部分の業務です。それ以外の業務をしても成果は上がりません。ですから業務を納期までに終了させることを第一に考えて、はっきりと断る癖をつけるのがあなたにとってもその部署全体にとってもベストな選択となるのです。
断られた側は意外とあっさりしている
「そうはいっても依頼を断ったら自分への印象が悪くなって今後の仕事がやりにくくなるのではないか?」という懸念が出てくるかとは思います。しかし、その心配は全く無用です。嫌な言い方で断ったのならともかく、「私は今大変重要な業務を抱えていまして、それで手一杯の状態になっています。大変申し訳ございませんが、今その業務を引き受けるのはちょっと難しいです」とこちらの事情をきちんと説明して、申し訳なさそうに断ればいいのです。そのようにすれば、断られた側は「仕方がないな」としか思いません。だから意外とあっさりしているものなのです。
常に優先順位をつけた業務を行う
他人からの業務依頼をはっきり断れるようにするには、あなた自身が業務の優先順位を分かっていないといけません。これが分かっているからこそ、他人からの業務依頼も「今それをやっている場合ではない」ということに気づくわけです。そのためにも必ず業務に優先順位をつけ、優先順位の高い業務を優先して行う癖をつけてください。優先順位のつけ方については、私のブログの「23. 仕事ができる人になろう!」で挙げていますから、こちらを参考にしてみてください。
以上になります。今回は業務やプロジェクトの根幹(骨格)部分を把握し、その業務だけに集中して他の業務依頼をいかに断っていくかについて述べていきました。今回の述べた内容を実行することで、あなたは他人からの不必要な業務依頼を断り、本当に重要なものだけに集中して業務を行うことができるようになりますから、あなたの仕事の評価が確実に上がるようになります。ですから、重要でない業務の依頼はスパッと断り、本当に重要な業務だけに集中して業務を行う癖をつけてください。それができれば、あなたは誰よりも仕事ができるすばらしい人になることができますよ。それでは、また次回お会いしましょう!!